今日は土曜日だったのでM浦さんのお掃除のサービスだったが、M浦さんは
「今日はワシの頼みを聞いて欲しいんや。」との事で
どうしたのか聴いてみると、掃除は止めて一緒に音楽を聴いて欲しいと言われ
M浦さんご自慢のオーディオで「ロミオとジュリエット」と、谷村新司の「群青」を聴いた。
M浦さんは最愛の奥様を子供たちがまだ小さい頃に白血病で亡くされ、男でひとつで子供たちを育て上げた昔があり、いつもお掃除の間、奥様の思い出を話される。
「群青」は最愛の人を喪った悲しみを歌った曲で、その曲が終わったあと
自分が奥様に退院したらダイヤモンドの指輪を買ってあげる約束をしたのに、果たせなかったこと。
それをどんなに奥様が喜んだかを話され、言葉は途中で嗚咽に変わり
しばらく泣いたあとに
「すまなんだなぁ。こんな時間に付きあわせてしもて。。ありがとう。 ありがとう・・・」と謝られた。
私は、謝らなくていい そんな風にたまに泣くと少しラクになるのだったら、いつでも私でよかったらお役に立てて嬉しいし、私もまた誰にも言えない話を聞いてもらいますから。と言うのが精いっぱいで、今日のサービスの時間は終わってしまった。
その後のサービスは余命一か月と宣告されてる方の入浴を任されていたのだけど、
その方はもう入浴は出来ないだろうというのがお医者様の見立てで、誰とも口を聞かないので、
入浴は無理でもいいから、その時間出来る事をして欲しいと言われていたので、それなら時間を気にせずにサービスしたいから、その後の仕事は断って訪問した。
Aさんは酸素を鼻からつけてうつろな目をされていたけれど、しばらく色んな他愛のない話をして
もし良かったら、この後 仕事は無いし、時間はたっぷりあるので、ゆっくりお風呂に入ってみませんか?と声掛けすると
「そうやなぁ。長いこと入ってないなぁ~せやけど、手を動かすと呼吸が出来なくなるから、全部洗ってもらわなあかんしなぁ。。」と言われるので、
「私の仕事はそれだから、入ってもらえたら嬉しいです。」と言うと、
「それなら入ってみよかな~」と言ってもらえた。
ゆっくり時間をかけて身体を隅々まで洗いながら湯船に入れない(疲れるので)分、シャワーで身体を温めていると
「あぁ!あんた服がえらい濡れてしもて。。風邪引いたらどないしょう。。」って。
「大丈夫ですよ~これはお風呂用の服だから、着替えもちゃんとあるしね~」って言うと、
「そうか、それなら良かった~風邪引かんといてな! 気持ちよかったよ!入って良かった。ありがとうな~」
「また入りましょうね~私に仕事させて下さいね~!」
「あはは。そやな! うん。 また頼むわな~」
自分の命が消えそうな時にまで人を心配される。。。
私はポーカーフェイスで良かったとつくづく思った。
帰り道 自転車で走りながら、風が強くて涙がポロポロ零れた。
風が強くて・・・・